AIハッカソン2023の開催報告
山梨県より業務委託を受け、YSAメンバーで「AIハッカソン2023」を開催しました。
開催に際しては、山梨大学・山梨県DX・情報政策推進統括官からも具体案などの協力を得ました。
参加者は山梨県在住でAIに興味を持つ、学生・社会人・YSA参加企業が一同に集い、AIの基礎を学びハッカソンで技術を競いました。
1. 業務の目的
山梨県ではデジタルトランスフォーメーション推進計画を策定し地域社会全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していますが、県内企業・団体の多くはAIなどの専門的なスキルに特化したスペシャリストについて自組織内で育成・確保することは難しい現状にあります。
本業務はAIやデータ利活用などDX推進のための人材育成・養成の観点から、AIを学んだ学生や社会人、これら分野へスキル転換を考えている人などを対象にAIをテーマとするハッカソンを開催し、学生や社会人のAIやICTへの更なる興味増進や上位学府での学びの機会、AI人材を目指す契機、情報通信企業で働く契機の創出を目指すことを目的としています。
2. 業務の概要
山梨県内在住の高校生から社会人を対象に、生成系AIを活用したアプリ開発をテーマとした「Yamanashi AI ハッカソン 2023」を下記の手順で開催しました。
① 広告
ポスターとチラシの制作・配布
新聞広告の掲載
山梨県のホームページへの掲載(山梨県様にて実施)
② 参加者募集
GoogleFormから申し込み
③ オンライン講座の開催
基礎知識の事前学習を目的として計4回開催
④ ハッカソンの開催
生成系AIの活用方法の理解を深めるためのワークショップと、デモアプリを作成し成果を競うコンテストの2部構成として開催
※参加人数とチーム分けの参考とするため、開催前に参加希望者の確認(GoogleFormを利用)
※コンテスト参加者に成果物及びアイデアの取り扱いに関する承諾の確認(GoogleFormを利用)
なお、山梨県内で活動するPythonコミュニティ「Shingen.py(しんげんぱい)」のメンバーにも、ハッカソン会場での参加者への技術的なフォローやアドバイスなどにご協力をいただきました。

3. 業務の詳細
広 告
(1)ポスターとチラシ
制作数
ポスター A1サイズ 200枚
チラシ A4サイズ両面 2000枚
配布先
山梨県(※1)、山梨県情報通信業協会(※1)、山梨県立図書館、山梨県立大学、山梨大学、都留文科大学、大月短期大学、英和大学、山梨学院大学、、産業技術短期大学校、サンテクノカレッジ、甲府商科専門学校、甲府工業高校、甲府城西高校、甲府商業高校、韮崎工業高校 ※1 チラシはPDFファイルにて配布
(2)新聞広告
山梨日日新聞 掲載日:10月13日(金)
山梨新報 掲載日:10月20日(金)、10月27日(金)
参加者募集
GoogleFormを利用して参加申込を受け付けました。
参加申込者数 41名(うち5名は事前キャンセル)
オンライン講座
(1)オンライン基礎講座1(DX、データサイエンス、AI)
開催日時
1回目 2023年11月8日(水)19:00~21:00
2回目 2023年11月10日(金)19:00~21:00
概要
AIや生成系AIを活用して課題を解決していくために必要な知識を習得するための講座。DXの基礎知識をはじめ、 AIの進化の過程から生成系AIの特徴までを体系的に学ぶ。
・ DXの定義
・2025年の壁
・NewNormalとは
・AIの定義と現状
・機械学習とディープラーニング
・生成系AIの現状と課題
・生成系AIとの付き合い方
受講者数
1回目(11月8日) オンライン受講者数:51名 アーカイブ閲覧数:112回
2回目(11月10日) オンライン受講者数:38名 アーカイブ閲覧数:55回
※受講者数には講師や事務局など関係者を含む
※オンライン終了後、YouTubeにてアーカイブを公開(2月4日まで、参加申込者のみにURLを通知)
(2)オンライン基礎講座2(Python講義と演習)
開催日時
1回目 2023年11月15日(水)19:00~21:00
2回目 2023年11月17日(金)19:00~21:00
概要
アプリ開発に用いるPython(プログラミング言語)の基礎を習得するための講座。Pythonを基本から学び、公開APIを使うためのプログラミングが理解 できるようになることを目指す。
・AI開発におけるPythonの重要性
・開発環境解説
・データ型
・ 基本的な演算子
・リスト、タプル、ディクショナリ
・制御構造: if-elif-else、ループ
・Pythonプログラムの構造
・RESTful APIの概念
・HTTPメソッド紹介
・requestsライブラリを使用したAPIの呼び出し方法
・パラメータを使ったAPIのリクエスト
・APIのレスポンスの解析とデータの利用
受講者数
1回目(11月15日) オンライン受講者数:49名 アーカイブ閲覧数:79回
2回目(11月17日) オンライン受講者数:34名 アーカイブ閲覧数:44回
ハッカソン
(1)ハッカソン第1部(ワークショップ)
開催日時
1日目 2023年11月25日(土)9:00~17:00
2日目 2023年11月26日(日)9:00~17:00
会場
株式会社日本ネットワークサービス 本社会議室
〒400-8509 山梨県甲府市北口2丁目14-14
概要
実際に生成系AIを動かしながら AIの活用方法等について理解を深める。また、コンテストのためのチームを編成し、テーマに沿った企画(アプリのアイデ ィアや実装方法など)をチームごとに検討する。
開発テーマ
生成系AIで山梨を盛り上げる!
~盛り上げる=活性化する・元気にする~
タイムチャート
1日目
09:00-10:00 はじめに
10:00-11:00 環境構築
11:00-12:00 生成系AIハンズオン
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-15:00 生成系AIハンズオン
15:00-16:30 Pythonアプリハンズオン
16:30-17:00 1日目纏め
2日目
09:00-09:10 はじめに
09:10-09:40 チーム役割決め
09:40-10:00 チーム名決め
10:00-10:30 Slack連携
10:30-11:00 テーマ発表/GOAL確認
11:00-12:00 テーマ検討
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-15:30 テーマ検討
15:30-16:30 チーム自己紹介
16:30-17:00 2日目纏め
参加者数
23名
(2)ハッカソン第2部(コンテスト)
開催日時
1日目 2023年12月9日(土)9:00~17:00
2日目 2023年12月10日(日)9:00~17:00
会場
株式会社日本ネットワークサービス 本社会議室
〒400-8509 山梨県甲府市北口2丁目14-14
概要
ワークショップで検討した企画について生成系AIを活用したデモアプリを作成し、その成果をチーム対抗で競う。作成したデモアプリを動かしながら、企画のポイントや生成系AIの活用方法などをプレゼンテーションする。
タイムチャート
1日目
09:00-10:00 はじめに
10:00-12:00 アプリ設計・開発・テスト
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-16:30 アプリ設計・開発・テスト
16:30-17:00 1日目纏め
2日目
09:00-09:10 はじめに
09:10-12:00 アプリ設計・開発・テスト・プレゼン準備
12:00-13:00 お昼休憩
13:00-15:00 プレゼンテーション
15:00-15:30 審査(審査中Shingen.py作成アプリを紹介)
16:00-16:30 表彰、総評、閉会
参加者数
23名
(3)コンテストの結果
プレゼンテーションでは、5つのチームが以下の題目で発表を実施しました。
発表順 | チーム名 | タイトル |
1 | チーム HAYANO (ちーむ ひゃの) | 山梨バズり戦略 ~生成系AIでおみやげ作り~ |
2 | エイジングクロスオーバー | 生成系AIで山梨に新たな収穫体験を Find Fruits Q |
3 | neurA/ wIne (にゅうらるわいん) | よってけし!やまなし! |
4 | ms20 (えむえすにいまる) | 無尽DX 生成AIで相互扶助の復活 |
5 | チーム gbc (ちーむ じ―びーしー) | あなたの声が映画の主役 AIで紡ぐ、まるで私たちの物語。 |
(審査基準)
下記の5項目にて審査を行い、各項目5点の配点で25点満点にて採点しました。
審査基準 | 内容 |
創造性と革新性 | 新しいアイディアやコンセプトを採用し、テーマから抽出した問題・課題に新しい視点からアプローチしているか?(革新的な方法や独自のアプローチがあるかどうかを確認) |
ユーザーエクスペリエンス | サービス(アプリケーション)をどれだけ使いやすく感じたか?(デザイン、ユーザーフロー、アクセシビリティ) |
実用性と市場適合性 | 実際の問題を解決するためにどれだけ実用的であるか、また市場にどれだけ適合しているか? |
技術的な実装 | 生成系AIモデルの技術的な実装に関して、アプローチや選択したツール、フレームワーク、データの処理方法などを工夫されているか? |
全体完成度 | プレゼン資料、デモアプリに工夫があるか? |
(選考結果)
賞 | チーム名 |
最優秀賞 | エイジングクロスオーバー |
技術賞 | neurA/ wIne (にゅうらるわいん) |
アイディア賞 | チーム gbc (ちーむ じ―びーしー) |
デザイン賞 | ms20 (えむえすにいまる) |
チームワーク賞 | チーム HAYANO (ちーむ ひゃの) |
(4)賞品・記念品
賞状(コンテスト参加者全員)
最優秀賞(最優秀チームメンバー全員) アマゾンギフト券(5000円)
記念品(コンテスト参加者全員) Yamanashi AIハッカソン2023ペーパーウェイト、図書カード
4. 振り返り
コンテスト参加者の属性
コンテスト参加者(23名)の属性は以下のとおりです。


コンテスト参加者の感想
コンテスト終了後のアンケート調査結果は以下のとおりです。(調査項目から一部を抜粋)


また、次回に向けたご意見をいただきました。
・ 来年もぜひ参加したいと考えています。
・ ぜひ次回も開催してください!
・ 次回は最優秀賞目指してがんばります! いや、すべての賞をもらうまで参加し続けますので、次回開催もよろしくお願いします!
・ 次回はもう少し技術を高めて参加したい!
・ 来年もぜひ開催いただきたいです。前回、今回とテーマが変わってるようなので来年別のテーマでお願いしたいです。
・ プレゼン時間10分で強制終了のルールはもっと早く知りたかったです!ありがとうございました!
・ colabに依存しない、aiに関するサンプルコードがもっと欲しかった。
・ 今後もこのような企画を実施して頂ければと思います。
・ もう少し業務に役立つような技術を掘り下げるようなものをお願いしたい。(RPAなど)
・ 申し込みからイレギュラーの対応していただき、また特別賞までいただきありがとうございました。
・ もっとAIについて教えてほしかった。
・ 半年くらいかけて開発するというのも、ありだと考えました。
・ ぜひかいさいしてください。ただ時期を考えてほしいと思います。師走の土日は時間をとれない方が多いと思います。
・ 生成系AIを使って作るというのは最初はどうしたら良いのか分からなくて不安でしたがワークショップ事前の基礎講座でDXとは何かから、Pythonの書き方や生成AIについてなどとても丁寧に説明がされていて、参加の障壁が下がりました。またワークショップで実際に生成系AIを触って体験してみるのも生成系AIがどのような事が出来るのかを感覚で理解できてとても良かったです。学生ではチームで何かを作るという経験は中々無いと思うので、これからも続けてほしいなと思いました。
・ また参加させていただきたいです。来年ではもうオワコンかもしれませんが、ChatGPTなどのプロンプトエンジニアでのハッカソンもいいかなと思いました。
・ 目標、目的、対象を明確にするとやりやすいかなと感じました。